賢い決算期の選び方

あらためて言う必要もないでしょうが、「決算期」とは、事業年度の末月のことを言います。個人事業主の場合、事業期間は選ぶ余地なく1月~12月ですから、決算期は必然的に「12月」になります。

しかし、法人の場合、事業期間は自由に選ぶことができます。

事業の規模が大きくなり、法人化を検討する場合、事業期間はどのように選んだらよいのでしょうか?
この点について、「税理士の事情」から、ちょっとしたヒントをお伝えしたいと思います。ちなみに、このようないわば泥臭い事情によるアドバイスはちょっとほかではみかけたことがありません。

法人にかかる法人税の申告・納税期限は「決算後2カ月以内」です。法人の多くは消費税の課税業者でもあるわけですが、こちらも同様に申告・納税の期限は、「決算後2カ月以内」です。
つまり、法人税や消費税の申告業務を、税理士は決算後2カ月目の月にやるわけです。この「決算後2カ月目の月」を「申告月」と呼びます。

法人税や消費税の申告業務は、税理士にとって大きな業務です。

ですから要は、なるべくなら「申告月」を税理士の繁忙期と重ならないようにしたほうがいいのです。こんな自己中心的なことを口にする税理士は少ないでしょうが、知っておいたほうがよい事実です。

12月または1月を決算月にすると、申告月は2月または3月にあたります。2月16日~3月15日は、個人の確定申告の期間。この確定申告期は、税理士にとって一番の繁忙期です。ですから、決算期を2月または3月にするのは、できれば避けた方がよい。多忙にかまけて、税理士に凡ミスをされたら、たまったものではありませんから。

3月を決算期にするのも避けたほうがよい気がします。大企業をまねて、4月~3月を事業年度にする法人が多いので、申告付きが5月に集中する3月決算もおすすめできません。
10月、11月を決算期にするのもできれば避けたほうがよいかもしれません。申告月にあたる12月、1月は、税理士にとっては年末調整業務だからです。

10月、11月、1月、2月、3月をなるべくなら避ける。

もちろん、以上は一般論であって、税理士によって事情は異なるでしょう。余裕のある月はいつなのか、直球で、顧問税理士にたずねてみるのがよいかもしれません。