(2)生命保険はすぐに現金化できる

被相続人が亡くなり、相続が開始された当初は、なにかと現金が必要なものです。

代表的には、葬儀費用。家族葬で100万円、一般葬で120万円かかるといわれています。

しかし、被相続人の預貯金口座は、金融機関が被相続人が亡くなったことを知った時点で凍結されます。また、凍結以前に被相続人の口座に手を付けると、相続放棄ができなくなるなどのリスクがあります。

他方で、死亡保険は、手続きさえすませば、即座に現金化できます。生命保険は、指定された受取人の固有の財産ですから、遺産分割の対象になりません。すぐに受取人の手元に現金がはいるのです。生命保険を受け取ったからと言って、遺産分割の取り分が差し引かれるということも原則ありません。

相続財産が、土地などが大半を占める場合、相続財産から納税資金を賄うのも容易ではありません。それらを売却して納税資金にあてようと思っても時間がかかるでしょう。しかし、相続税の期日は待ってはくれません。一日でも遅れれば追徴課税されます。

その点、生命保険は即現金化されますから、納税資金の確保にもなります。

(1)生命保険の非課税枠を利用する

生命保険は本来、民法上、受取人の固有の財産であり、「相続財産」ではありません。しかし、税法上、死亡保険金は、「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象となります。

しかし、生命保険は、相続対策として非常に有効です。

というのは、生命保険には、非課税枠があり、その枠内の金額であれば、課税されることがありません。では、生命保険の相続税上の非課税枠はいくらなのか?

500万円×法定相続人の数が、生命保険の非課税枠となります。たとえば、配偶者と子2名が法定相続人の場合

500万円×3名=1,500万円が非課税枠となります。

現金で1,500万円を相続すれば、もちろん全額課税対象ですが、その現金のいくらかでも生命保険の活用にまわせば、有効な相続対策となるわけです。